「天外魔境 風雲カブキ伝2」をご存じだろうか?一時的に企画が立ち上がり、正式発表も果たしたタイトルだったのだが、何の前触れもなく企画消滅してしまった幻のタイトルである。 企画の発端となった雑誌Vジャンプ(集英社)誌上での経緯を紹介しよう。
●Vジャンプ 1993年12月号
満開!!天外劇場のコーナーにて「風雲カブキ伝2」と思われる、数点のイラストが公開される。制作が進行していることがほのめかされる。
●Vジャンプ 1994年1月号
満開!!天外劇場のコーナーにて「風雲カブキ伝2」の画面写真が公開された。その画面は、素人目にもPC-Engineの画面ではないとわかるほどの、合成画面であったが、オランダ、アメリカ、中国、エジプト、果てはUFOと立ち向かう画面まで公開された。新しい衣装に身を包んだ、辻野寅次郎氏のイラストも公開された。
この時点ではスタッフ、メーカーには全く連絡が届いていないという状況であった。
●Vジャンプ 1994年2月号
実は、この企画は当時、「こなきカブキ」としてVジャンプ誌上を賑わせた、 下田淳氏の独断行動であった。しかし、ハドソン側より法的措置をとるという通告書が送られてきて、広井王子氏に泣きついたのだが、広井氏も激怒。やむなく断念かと思われたが、「風雲カブキ伝2制作委員会」を設立し、読者参加型の企画に変更され、キャラクター、イベント、モンスターを募集することになった。
●Vジャンプ 1994年3月号
風雲カブキ伝2制作委員会の募集要項が発表される。応募者にはPC-EngineDUO-RとアーケードカードDUOのセットがプレゼントされる事になる。白紙状態の企画書のイラストが掲載される。
同時に「風雲カブキ伝X」なるタイトルが発表される。
●Vジャンプ 1994年4月号
読者の作品のキャラクター数点が僕久保氏に描きおこされる。
●Vジャンプ 1994年5月号
読者の作品の「スライム侍」が企画書に加えられる。
●Vジャンプ 1994年6月号
読者の作品のキャラクター数点が紹介されるが最優秀賞獲得作品がなく、企画に進展はない。
●Vジャンプ 1994年7月号
進展のないカブ伝2計画に業を煮やした僕久保氏が乱入し正式に副委員長として計画に参加する。読者作品のアイデアの判定など行いつつ、今まで通りキャラクターの修正作業を行う。「影刈りい」が企画書に加えられる。
●Vジャンプ 1994年8月号
カブ伝2が本格的に動き出すということで、満開!!天外劇場のコーナーが休止することになる。広井王子氏も天外魔境 Ⅲ 制作にはいると発表される。数ヶ月後にすごい情報をひっっさげて戻ってくると文面に記されるが・・・・・・・
■下田淳(しもだあつし)
「天外魔境II」シナリオサポートとして参加。
その後、正式にREDカンパニーに入社。
「カブキ伝」で助監督として広井王子の補佐につき、
イベント設定などに携わる。
角川スニーカーG文庫の「天外魔境 風雲カブキ伝リプレイ」を執筆する。